大倉社長コラム〈79〉WALK TO THE DREAM J2ライセンス申請

 

 ◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

 ◆施設面の整備が課題に

 いわきスポーツクラブは6月末、いわきFCのJ2昇格に必要となるライセンスを申請した。J2参入にはライセンスの交付と、今季リーグ戦で2位以内になる必要がある。審査結果は10月中旬ごろに出る見通しだ。

 いわきFCは6年前「スポーツを通じて社会価値を創造する」という理念の下、発足した。県社会人リーグ2部からJ3まで一つずつカテゴリーを上げ、そのたびにいわき市内外から試合に訪れる人が増えた。上のカテゴリーに昇格することで、人の交流が盛んになり、経済効果が生まれる。「スポーツによる人づくり、まちづくり」をさらに進めるための手段だと思っている。

 J3よりもJ2のほうが、より多くの相手サポーターやサッカーファンが、いわき市や双葉郡を訪れることが予想できる。そうなれば、地域経済の活性化やチームの注目度向上につながるだろう。地域に貢献したいと思うからこそJ2への昇格は目指すべきだと考えている。同時に選手には、より高いレベルでプレーしたいというプロとして自然な思いも実現させてあげたい。

 一方で今後、スタジアムなど施設面の整備が課題になる。ライセンス申請の中で、来季以降のホームスタジアムを改修が進められているいわきグリーンフィールドとすることを盛り込んだ。ただ、今回の申請は「例外規定」を用いての申請となり、あくまで暫定的であるため、一定期間内にJ1やJ2基準のスタジアムの整備を完了させる必要がある。また、来場者が多くなればスタジアムまでのアクセスなども整えていかなければならないだろう。

 スタジアムをただ単に整備するだけでなく、いわき市、双葉郡、浜通り地域にどのような効果がもたらされるか。関係機関と議論を進めていく段階にきていると思う。スタジアムの存在が、まちづくりの一部になっていなければならない。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。53歳。