田村SDコラム〈11〉WALK TO THE DREAM 前半戦折り返し

 

 ◆いわきFC・田村雄三SD

 ◆生まれた競争の好循環

 リーグ戦前半戦が終わり、11勝4分2敗の首位。開幕から順位目標を定めて戦ってきた訳ではないが、毎試合、村主博正監督がやろうとしているサッカーを選手が体現し、順調に勝ち点を積み重ねることができている。

 36得点13失点はどちらもリーグ1位の数字。特に失点については、前から積極的にボールを奪いに行く攻撃的な守備を行いながら、最少失点に抑えることができている。良い守備ができている証拠だ。

 また、アウェーで勝ち星を重ねられていることも、今の順位にいられる要因だろう。大観衆の中の試合でも、選手たちは落ち着いて戦えるようになってきていいる。

 そして、好調の最大の要因はプレー強度の基準の高さにあると思う。いわきではプレー強度の高い選手を基準に、全員がそこを目指してトレーニングを重ねる。その練習量はどのクラブよりも多いという自負があり、競争の好循環が生まれている。選手や監督、コーチの努力のたまものだ。

 第16節の岐阜戦では最終盤、選手の判断でボールキープを行い、リードを守った。いわきは常に止まらず、攻め続けることをクラブの哲学に置いている。ただ間違えてはいけないのは、根本的には試合に勝たなくてはいけないということ。哲学と勝利のバランスも大切になる。

 黒星を喫した2試合では、私たちの戦い方に対して施してきた相手の対策を上回ることができなかった。後半戦は、対策される試合がさらに増えていくだろう。ただ私たちは今まで通り、あくまでもスタイルを貫いて勝利を目指したい。相手の良さを消すことよりも、自分たちの良さを出すことの方が大切だと考えているからだ。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身、中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南ベルマーレ強化部を経て15年にいわきFC強化部入り、17~21年に監督を務めた。39歳。