大倉社長コラム〈81〉WALK TO THE DREAM 無敗で乗り切った夏

 

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

◆残り8戦スタイル一貫

 蒸し暑い夏場だからといって何かを変えるということは、クラブとしてあってはいけないことだ。7、8月の2カ月間も攻め続けるいわきのスタイルを貫き、10試合を8勝2分の無敗。8月の月間表彰でFW有田稜がMVP、FW鈴木翔大がベストゴール、村主(すぐり)博正監督が優秀監督賞を受賞できたのも、一貫したチームの姿勢ゆえだったと思う。

 こうした姿勢はペナルティーエリアへの侵入やシュートの数が多いこと、後半に得点を多く挙げられていることに表れている。また何度も仕掛ければ事故も起こる。第24節北九州戦はPKの1得点のみだったが、その裏にも選手のひたむきな頑張りがあった。

 ベストゴールに選ばれた第22節藤枝戦のボレーシュートは、FWに必要な思い切りの良さが出た、良いゴールだった。あの試合、翔大は対峙(たいじ)した相手選手を空中戦で上回っていて、気持ちが乗っていたはずだ。試合を通して気持ち良くプレーできていたからこそ、ペナルティーエリア外のサイドから豪快に足を振ることができたのだと思う。

 有田は8月の4試合で3得点1アシスト。6月ごろから少しずつチームにフィットし始め、プレーに力強さも付いてきた。ただ入団前からプレーを見てきた身としては、今の活躍は想像の範囲内。さらに力強さが加われば、「万能FW」としてもっと良い選手になれるだろう。

 残り8試合は、終盤に生まれるさまざまなプレッシャーにどう向き合えるかが鍵になる。最近対戦した今治や岐阜のように、各クラブが昇格や優勝の可能性をかけて戦ってくるからだ。そこを乗り切るためにも、積み上げてきたフットボールをやり続けるしかない。昨年、JFLで優勝を経験できたことも、きっとどこかで生きてくるだろう。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。53歳。