大倉社長コラム〈83〉WALK TO THE DREAM J2開幕戦

 

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

◆観客4300人、感慨深かった

 ホームのいわきグリーンフィールドでJ2開幕戦を迎えた。いわきFCとして、同会場で初めて4300人を超える観客が来場した。J2の注目度やわれわれのこれまでの活動が輪となり、これだけの観客につながったかと思うと、その光景は非常に感慨深かった。

 ただし、運営面では想定していた以上にさまざまな課題が出た。一番は会場で発生した電波障害だ。クラブとして試合中に交流サイト(SNS)の更新ができなかったほか、何よりも今の時代に携帯電話がつながらない状況は救急通報ができないなど非常に危険だ。改善に向けて、いわき市や通信会社と共に基地局の分析などを進めていく。

 一方で、改修工事が完了したいわきグリーンフィールドの雰囲気はとても良かった。ロッカールームはきれいになり、チームカラーの赤で統一された空間は選手のモチベーション向上につながる。天然芝が張り替えられたグランドも素晴らしかった。新たに設置された大型映像装置も会場の雰囲気を変え、演出面でも良い効果がある。ホームのアドバンテージになり得る環境が整ったと感じた。

 試合については、同じ昇格組の藤枝MYFC(静岡県)相手といえども、J2で簡単には勝てないと思っていた。いわきは前半の立ち上がりが良くなかった。開幕戦で浮足立っていたのか、J2のプレッシャーからか、チームの歯車が少し狂っていた。藤枝の方が出足や反応が速く、いわきは後手に回る印象だった。しかし、後半からは「らしさ」が出ていた。2得点を挙げ、もう少しで追い付くほどの勢いを取り戻した。

 今季は始まったばかりで、これから先に連勝も連敗もあるかもしれない。あまり一喜一憂せずに、毎試合いわきらしさを出していくことが大事だ。