田村GMコラム〈14〉WALK TO THE DREAM J2初勝利

 

いわきFC・田村雄三GM 積極的姿勢が報われた

 J1を経験したベガルタ仙台を相手に1―0。良いゲームでJ2初勝利を挙げることができた。最後まで走り続け、積極的に戦う姿勢が一つ報われた形だ。これで選手、スタッフ陣はホッとしていることだろう。

 開幕3試合は1分け2敗。正直、ここまで負ける内容ではなかったと思う。

 開幕戦の相手は藤枝MYFC。シンプルに藤枝の方がパワーがあり、相手の良さが出た試合だった(2―3)。第2節水戸ホーリーホック戦は開幕戦より攻守に積極的な姿勢で戦えており、修正が見えた。「立ち返る場所」を確認できた一戦だった(△2―2)。

 それを受けての3戦目。レノファ山口FCは王道の「ポゼッション型」で、やりにくい相手ではなかった。プレスで相手のミスを誘い、決定機を多くつくれた。ただ決め切れず、相手の一発に泣いた。決めるべきところで決めていたら結果は違っただろう(0―1)。

 一方で個人的には選手の成長を感じた3試合でもある。良い例がMF谷村海那だ。谷村は、加入後3年間は途中交代で出場する選手だった。その間、体を見直し、プレースタイルを変え、今では先発。1試合で12キロぐらい走れる選手になった。

 試合では当然、勝利を目指す。ただ同時に、いわきFCは若者の成長を見守るクラブでもある。彼はそんなクラブを体現する選手の一人になりつつある。

 山口戦後、谷村は悔し涙を流していた。しかし、得点を挙げていない試合でも攻守にチームへの貢献度は高い。今の働きを続けていれば、いつか得点できるはずだ。

 ここからの4連戦はJ2上位に食い込む力のあるクラブとの対戦が続く。実力を試す、いい試金石となるだろう。仙台戦のような戦いを継続することで、次の勝利も見えてくる。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身、中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南ベルマーレ強化部を経て15年にいわきFC強化部入り、17~21年に監督を務めた。40歳。