大倉社長コラム〈84〉WALK TO THE DREAM 地域推進部創設

 

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

◆環境問題も新たに啓発

 クラブ始動以来のミッションに掲げてきた、震災復興への寄与や「スポーツによる人づくり・まちづくり」をさらに進めたい―。そんな思いから今年1月、「地域推進部」を創設した。専門の部署をつくったことで、一層の地域貢献を進めることができる。

 クラブの規模感が大きくなったことが創設の主な理由だ。昇格を重ねる中で関わる地域の方々や団体の数、またそうした方々から寄せられる期待も大きくなっている。ありがたい気持ちの一方で、拾えない声や拾っても実行に移せない声も同時に増えてきた。最近2年間くらいのことだ。

 そうした声を広く拾い、地域社会の一員として課題解決の一助になりたい。今までも健康促進のためのスポーツ教室や、風評払拭や地産地消を促す常磐もののPRなどに取り組んできたが、こうした流れをさらに強化していきたい考えだ。

 部に配属したのはクラブスタッフ3人に出向のいわき市職員1人を加えた4人。このうちクラブスタッフの1人も市職員OBで、さまざまな面で地域に精通している。クラブが活動を始めたばかりの頃に、市側の窓口となってくれた方でもある。

 「地域推進部」という名前の由来はいわき市の活動家小松理虔(りけん)さんの著書にある。いわきFCについて触れてもらっている著書があり、その中に「地域推進部があればいいのに」という旨の文章がある。小松さんと同じ思いだと感じ、そのままお借りすることにした。

 今後新たに取り組みたいのは環境問題だ。毎週の試合にはチームや来場者の移動や食事が伴い、二酸化炭素(CO2)排出や海ごみ、食品ロスなどの問題は人ごとでない。こうした問題を知る機会をつくることで、サポーターと一緒に行動を変えていければうれしい。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。53歳。