大倉社長コラム〈85〉WALK TO THE DREAM スタジアム構想

 

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

◆地域課題解決の場にも

 いわきスポーツクラブがスポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革推進事業」の実行団体に採択され、近くホームスタジアム整備に向けた構想策定の協議に入る。根底にあるのは、国の成長戦略(地方創生戦略)でも定めるスタジアムを核としたにぎわいの創出だ。Jリーグの試合のためというように「いわきFC」が主語になるのではなく、「地域」が主語でなければならない。スタジアムが「地域のために何をもたらすのか」を1年かけて皆さんと共に考えていきたい。

 サッカーの会場にとどまらず、コンサートやラグビーなどのエンタメ運用はさまざま考えられるが、地域の課題である人口減少、子育て、医療、防災、環境、教育(部活問題)などさまざまな課題を解決する場であったら面白いと思う。

 また先人の取り組みとの相乗効果もあるかもしれない。例えば、蓄電池を核に地域の問題解決に先進的に取り組む「いわきバッテリーバレー構想」。スタジアム構造に組み込まれたり、人が集まる場での発信によって、さらなる広がりにつながるかもしれない。福島国際研究教育機構(エフレイ)の研究実証の場としての利用も考えられる。

 スタジアムと地域の活動が「かけ算」されることで、どんなイノベーション(革新)が起きるのか。それが整備構想の考え方の鍵を握ると思う。

 地域の魅力を集結し、より強い力にするための力がスポーツにはあると仮説を立てて、皆さまと協議を重ねていきたい。場所ありきではなく「こんなものがあれば絶対に良い」という理念を大事にして知恵を絞りたい。「できるかどうか」ではなく「できるためにやろう」で考え、地域の皆さんに伝えていきたい。

 「浜を照らす光」となるように。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。53歳。