田村GMコラム〈16〉WALK TO THE DREAM 清水に大敗

 

いわきFC・田村雄三GM 守備修正、巻き返しの鍵

 静岡市のIAIスタジアム日本平で7日に行われたJ2第14節清水エスパルス戦は、1―9の大敗に終わった。湘南ベルマーレの選手だった2010年、同じ会場で行われたJ1リーグ戦を1―5で落としてクラブのJ2降格を決めてしまった。個人的には苦い思い出をまた一つ、つくってしまった。

 本題の試合内容だが、90分を通して清水にやりたいようにやられてしまった。昨季のJ1得点王FWチアゴ・サンタナや日本代表のGK権田修平、MF乾貴士など、実力ある選手が多く出場しており、能力の差をまざまざと見せつけられた格好だ。

 ただその差は9失点するほど大きなものではなかったとも思う。サイドチェンジとそこからのスピードアップ、ゴール前のFWの動き、サイドの選手のクロスの出し方...。確かに清水の選手のクオリティーも高かったが、相手に戦術的なウイークポイントを突かれた失点が多かったことは今後の戦い方に踏まえるべきだ。

 例年のJ2を見ると、下位に沈むチームのうち守備を改善できたチームが立て直しに成功している。この傾向を踏まえても、ここから巻き返すためには守備力を高める修正で失点数を減らす必要があるだろう。

 その際に大切となるのは、今までの良さを消さずに修正を施すこと。いわきは始動以来変わらず攻撃的なスタイルを貫くことで、ここまで昇格を重ねることができたクラブだ。その哲学が変わることはない。

 こうした攻守のバランスを取ることは、一般的に言っても簡単ではない。ただこの苦しい状況を乗り越える経験は、必ずチームの成長の糧となるはずだ。「あの清水戦があって良かった」と言えるよう、クラブ一丸となって歩みを進めていきたい。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身、中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南ベルマーレ強化部を経て15年にいわきFC強化部入り、17~21年に監督を務めた。40歳。