大倉社長コラム〈87〉WALK TO THE DREAM 検討委設立

 

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

地域重視のスタジアム

 新スタジアムの整備に向けた構想や計画を考える検討委員会(IWAKI GROWING UP PROJECT ~想(おも)いを紡ぐ 地域を繋(つな)ぐ~)を設立し、スタジアム構想策定の協議に入った。クラブの根底にあるのは、国の成長戦略(地方創生戦略)でも定めるスタジアムを核としたにぎわいの創出だ。スタジアムの利用だけでなく、地域課題を解決できるような複合的な機能を持つ場をつくれれば面白いと思っている。

 いわきスポーツクラブがスポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革推進事業」の実行団体に採択され、目指すスタジアム像に向けて本格的に動き出している。イメージとしては365日動き、機能し続ける場だ。「いわきFC」が主語になるのではなく、「地域」を主語にし、Jリーグの試合などサッカー以外でも活用できる地域の拠点になる場所をつくれるようしっかりと協議を重ねていきたい。

 コンサートやサッカー以外のスポーツなどエンタメ運用はもちろんのこと、地域の課題である人口減少、子育て、医療、防災、環境などさまざまな問題を解決し、地域活性化を図れる場所にできたら最高だ。そのために検討委員会には、地域でまちづくりや教育、文化活動を担う人をあえて集めた。

 委員はいわき市出身の人や県外出身者、年齢、性別もさまざまで多種多彩。多機能なスタジアム(場)をつくっていくにはさまざまな切り口が必要になるため、いろいろな経歴を持った人たちからの忖度(そんたく)のない意見を期待したい。委員一つ一つの発言の凝縮がクラブ、地域が求める新たなスタジアム(場)の姿につながっていくと思っている。2024年3月までにコンセプトをまとめていくが、密室にならないよう議論の内容をオープンにしていきたい。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。54歳。