大倉社長コラム〈88〉WALK TO THE DREAM シーズン移行
◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長
◆雪国クラブの支援必要
長年、Jリーグのテーマの一つだった「シーズン移行」の議論が再燃している。シーズン移行とは、現在の2~11月からウインターブレイクをはさんだ8~12月、2~5月にリーグ戦を行うというものだ。
再燃のきっかけはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の日程変更だ。Jリーグのシーズンをまたぐようになり、同じクラブでも予選と決勝を違うチームで戦うことになってしまった。
この現状が果たして日本サッカー界にとって良いことなのか、というのが議論の最大の論点だ。言い換えれば、ACLで優勝できないJリーグがアジアのリーグとして価値があるのかという議論だ。
日本全体のサッカーの水準を高めていくためには、世界各国のリーグに太刀打ちできる強いリーグをつくっていく必要がある。こうした上位概念に照らし合わせれば、個人的には変更もやむを得ないと思う。
ただ変更には痛みが伴う。もしシーズン移行を行うのであれば、デメリットを丁寧につぶしていく必要がある。
最大のデメリットは雪国クラブへの負担だ。雪国では冬にスポーツを観戦する文化があまりないといわれていて、入場者が減る懸念がある。試合運営、練習場の確保にも影響が出る。例えば冬場はアウェー戦を多くして終盤にホーム戦を増やしたり、ウインターブレイク期間にキャンプできるような支援をしたりするなど、負担の埋め合わせをしなけらばならない。
その点、夏場の試合が減ることはメリットになる。熱中症が増える7月の試合を避けられるのは、選手だけでなく観客にとっても良いことだ。夏場に選手の運動量が落ちることもデータから分かっている。競技のレベルを落とさないことにもつながるだろう。
おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。54歳。
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