大倉社長コラム〈90〉WALK TO THE DREAM スタジアム

 

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

来季、さらに改善目指す

 J2初挑戦の今季、予想以上のサッカーファンがハワイアンズスタジアムいわきに来てくれた。プロスポーツクラブにとって、入場料は経営における本丸。クラブが始動した頃は「スポーツにお金を払う文化がない」などの心配の声ももらっていたが、予想以上の入りにうれしい思いだ。これもいわき市のスタジアム改修があったからこそ。改めて感謝の気持ちがあふれる。

 夏のナイター戦では新しい発見があった。平日の試合で目立っていたのは会社帰りにお酒を飲みながら観戦するスーツ姿の人たち。ちょうちんを飾ったこともあり、全体がお祭りのような雰囲気になった。曜日や時間が変わるだけだと思っていたが、良い意味で驚かされた。

 多くの来場者によって熱狂空間をつくることができた一方、試合運営の面では学びの多いシーズンになった。携帯電話の通信障害やシャトルバスの運行、各ブースのオープン時間など。実際にやってみないと分からないことばかりだったが、来場者の皆さんには迷惑をかけてしまっている。

 それでも皆さんの声にできる限り応えたいという思いから、シーズン中に改善できるものは改善してきた。来季はさらなるバージョンアップを目指すつもりだ。いわき市にも課題をよく理解してもらっており、思いは一致している。できることから取り組んでいきたい。

 ホーム戦最後の3試合はSNS上で「#ハワスタ5000」と銘打ち、満員を目指してきた。そのかいあって、3試合ともチケットは完売となった。4日のホーム最終戦で、この目標が達成されればうれしい。

 仮にアウェーサポーターが0人でも、地元の皆さんだけでスタジアムをいっぱいにできるのであれば、それが理想だ。一層多くの人から応援してもらえるよう、クラブの発展を進めていく。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。54歳。