田村監督コラム〈23〉WALK TO THE DREAM 序盤の戦いぶり

 

◆いわきFC・田村雄三監督

◆粘り強さ発揮、連敗阻止

 J2で2年目のシーズンが始まり、3試合を終えて選手一人一人のサポートやパスの質を高めるなど各試合で出た反省点を生かしながらチーム内で改善することができていると感じる。

 水戸ホーリーホックとの開幕戦(0―1)では、開幕戦の独特な雰囲気で選手たちが硬くなり、自分たちの戦いができなかった。開幕戦ではどうしても気持ちが高まり「いいプレーをしよう」とか「しっかり丁寧にやろう」という考えでプレーが小さくなって、相手に流れを渡してしまうというような悪循環が起こる。思いが強いからこそ、緊張する。毎年開幕戦を経験している選手は数えるくらいしかいない。緊張はしょうがないことだ。

 第2節のファジアーノ岡山戦(1―1)では、開幕戦から守備が崩されていなかったので、攻撃面をどうにか整理したかった。ただ、攻撃が悪い中でも勝ち点を取れたことは大きい。「強いチームは連敗しない」とずっと言い続けているが、連敗を一つ遮断できたことはいいことだった。選手たちは粘り強く戦ってくれた。

 第3節の鹿児島ユナイテッドFC戦(3―1)では、過去2試合の反省を生かし「90分間止まらない、倒れない」サッカーをやってくれた。勝ち点「3」を一つ取って肩の荷が下りたかなと思う。ここからまた課題と向き合いつつ、チーム力をさらに高めていきたい。

 この日は東日本大震災から13回目の「3・11」を前にした一戦でもあった。チームの原点を振り返り、いわきらしいプレーをすることが見に来ている人たちのためになると、試合前に選手たちに伝えた。この勝利は、特別な勝利になったと感じる。ここから連戦でさらにチーム力が問われる。一人一人が120%の力を出せるようしっかりと準備していきたい。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身。中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南強化部を経て15年にいわきFC強化部入り。17~21年に監督を務め、昨季途中から再び指揮を執る。41歳。