大倉社長コラム〈93〉WALK TO THE DREAM 新構想議論1年

 

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

◆スタジアム、主役は地域

 いわきFCの新スタジアム構想を巡り、さまざまな世代のメンバーが1年にわたって議論を重ねてきた。その中で、スタジアムの在るべき姿やビジョンが徐々に見えてきた。

 スタジアム整備の前提になっているのは、いわきFCのJ2ライセンスがJリーグのスタジアム施設基準の「例外規定」に基づいて交付されているという事実だ。現在はいわば仮のライセンスの状態であり、本物のライセンスを得るためのスタジアムを整備しなくてはならない。

 具体的には、いわきFCは来年6月末までに、新スタジアムの場所や機能、事業主体などを盛り込んだ整備計画をJリーグに提出する必要がある。

 「こんなスタジアムあったらいいな」。1年間、そんなテーマの分科会で議論してきた。いわきの地域課題を確認するところから始め、スタジアムが地域にもたらす影響などを考えた。子どもたちの意見を聞く「ユースプロジェクト」も開催した。

 Jリーグが新しいスタジアムに求める要件の中で、「アクセスが優れていること」という項目がある。アクセスというと単に「駅が近い」などという条件を指すと思われがちだが、実際は「元々ある地域資源とスタジアムを掛け算することで経済効果や社会効果を生み出す場所に造るべきだ」という意味合いの言葉だ。ここは重要なポイントで、スタジアムがどこにあったら地域の活性化につながるかを見極めていかなければならない。

 1年の議論の内容をまとめたリーフレットを作製した。できるだけ多くの人に手に取ってもらいたい。スタジアム整備はいわきFCではなく地域が主語でなければならないと思っており、これからの1年間は非常に大事な期間になる。

 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。55歳。