【いわきFC・J2初年度の激闘】一時最下位...監督交代「攻め」鮮明

 
最終戦後、いわきサポーターに感謝するいわきイレブン=12日、静岡県藤枝市・藤枝総合運動公園サッカー場

 激闘のJ2初年度を終えたいわきFC。新たな舞台で見えた成長や課題を振り返り、来季に向けた座標軸を探る。

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 藤枝MYFCに4―2で勝利し、18位で今季42節の全日程を終えたサッカーJ2のいわきFC。12日の最終戦後、DF家泉怜依(23)は「昨季のようにうまくいかずに苦しかった。それでも良い1年になった」と総括した。

 J2参入初年度の今季は、文字通り「山あり谷あり」の1年だった。一時は最下位に低迷し、監督交代。そこから原点回帰し、攻守で「攻めの姿勢」を取り戻した選手たちがJ2残留をつかんだ。監督交代後の22試合は8勝7分け7敗。交代前の倍となると勝ち点を積み上げるV字回復だった。

 村主博正前監督が指揮した20試合は、リーグワースト得点の14点、失点はワースト2位の37点で、下位に沈んだ。守備は「4・4・2」の布陣でゾーン守備を貫いたが、試合を重ねるにつれて相手が対策を講じ、それに伴って攻撃の時間も少なくなった。

 監督交代後にまず変化したのは守備だろう。複数選手が「守り方がはっきりした」との印象を持った。責任の所在を明確にするマンマークを取り入れ、リスクを負ったハイプレスを取り戻した。また「4バックだけでは対策される」と田村雄三監督(40)が話すように、3バックも併用して戦いの幅を広げた。

 ショートパス「つなぐ」強化

 攻撃はロングボール主体からショートパス主体に切り替えた。パスミスから失点することがあったが、第37節では首位町田をボール支配で圧倒し、3―2で勝利する金星も挙げた。

 MF岩渕弘人(26)は「日本で一番つらい練習をしている」と表現するように、練習の強度も変わった。夏場でも走り込みを惜しまず、オフ明けの練習で特に走力強化を図った。

 来季も若手主体

 1年を通しての課題は、決定力不足と選手層の薄さだった。ただ、資金力がある他のJ2上位クラブのように強力FWの補強などはしない見通し。来季も強化方針として掲げる「若手主体」「育てながら勝つ」を追求する戦いになりそうだ。田村監督には「成長のために経験を重ねながら勝利する」というテーマが求められる。