【いわきFC・J2初年度の激闘】サポーター層拡大、より一体感課題

 
「さらに応援の輪を広げたい」と語る会田さん(中央)

 「ここまでサポーターが増えるとは思わなかった」。いわきFCのゴール裏で応援を先導するコールリーダーの会田陸人さん(20)はそう喜びを語り、来季に向けて「さらに応援の輪を広げたい」と決意を口にする。

 会田さんらは今季、「誰でも参加しやすいゴール裏づくり」に取り組んだ。ゴール裏を熱烈なサポーターだけの場所にするのではなく、幅広いサポーターに来てもらえるよう、裾野を広げようとした。

 そのために、子どもたちに注目した。「子どもが楽しければ、親や家族もきっと一緒に来てくれる」と会田さん。子ども向けの応援体験会を開いたり、実際に試合でも太鼓をたたくのを任せたりした。

 昨季から幼稚園児の孫がいる息子家族と一緒に観戦に訪れるようになったという宮田悦郎さん(68)は「いわきのゴール裏はフレンドリー。今ではみんなが知り合い」と語る。サポーターの子ども同士も仲良くなっているといい、「安心して孫と応援できる」と喜ぶ。

 今季後半から、ゴール裏のサポーターが特に増え始め、比例するように応援の迫力も増した。会田さんは「J2残留という共通の目標を持てたことで、サポーターが一つになれた」と分析する。

 いわきの応援は大きな発展を遂げたが、会田さんは改善の余地も感じている。今季は、ホーム戦にもかかわらずアウェーサポーターに応援で圧倒される「ホームジャック」が起きた試合もあった。会田さんは「昨季までは勝ち続ける一方だったので、応援について深く考えてこなかった部分はある」と反省する。サポーターに呼びかける言葉の選び方など、一体感をより高めるための工夫を講じるべきだと考えている。

 選手を後押ししたいという一心で、サポーターは改革を続けている。会田さんは思いを語る。「人生を懸けて戦う選手に、それ相応の雰囲気の中でプレーしてもらいたい」

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 この連載は小磯佑輔が担当しました。