湯本温泉で体力強化 いわきFCと旅館組合、スポーツ通じ誘客へ

 
温泉の効能や効果的な入浴方法などを学ぶいわきFCの選手ら。いわきFCと連携しながら交流人口拡大を目指す

 いわき市のいわき湯本温泉旅館協同組合といわき観光まちづくりビューローは、スポーツ選手の体づくりに効果が期待される同温泉の泉質をアピールする取り組みを始める。まずは、運動能力の強化と維持を目指し、温泉保養士がサッカーJ2いわきFCのトップ選手に効果的な活用法を伝える。スポーツ関係者らの利用促進を図りながら観光誘客につなげる。

 日本温泉保養士協会長の小野倫明さん(61)によると、いわき湯本温泉は末節血管を広げるとされる硫黄泉、血管に酸素を多く送る作用があるという硫酸塩泉、筋肉を柔らかくする効果があるという塩化物泉のバランスが取れているのが特徴という。

 小野さんは、温泉がある常磐地区には1963年にJRA競走馬リハビリテーションセンターが開設されたことを示しながら「持久力や膝などの機能向上に役立つ、スポーツに向いている温泉だ」と指摘する。

 いわき湯本温泉旅館協同組合は、いわきFC設立直後からユースチーム送迎を担うなど支援を続けており、トップチームとの連携も模索してきた。薄羽裕一理事長(53)は「馬の温泉の実績があり、体が資本のプロ選手であるいわきFCを通じて波及効果があるのではないか」と期待する。

 いわき観光まちづくりビューローの若松貴司専務理事(61)も「いわき市が進めるスポーツツーリズムはサッカーをはじめマラソンや自転車といった足を使ったスポーツが多い。スポーツに特化した温泉として観光交流人口の拡大につなげたい」と力を込める。

 加盟旅館を選手が気軽に利用できる制度も設けて、これまで以上にクラブとの連携強化を図る。今後は、選手の温泉利用データを集め、その効果を検証することも視野に入れている。小野さんは「いわきFCを通して地元の温泉への関心を高めて住民の利用を促し、地域の健康増進にもつなげたい」と話す。

 田中主将「効能周知したい」

 いわき湯本温泉旅館協同組合といわき観光まちづくりビューローは8日、いわき市のいわきFCパークで、いわきFC選手らに、いわき湯本温泉の効能や効果的な入浴方法などを伝える講座を初めて開いた。

 トップチーム選手やスタッフら約40人が参加した。日本温泉保養士協会長の小野さんらが講師を務め、いわき湯本温泉の特徴や循環器、呼吸器、関節、皮膚への作用を解説した。さらに、具体的な入浴法や入浴中、入浴前後に行うと効果的なストレッチなどを指導した。

 受講した主将の田中謙吾選手(34)は「効能や文化を学び、新たな知識が得られた。選手が気軽に温泉を利用できるのもありがたい。メディカルデータの検証にも協力して、いわき湯本温泉を周知できるようにしたい」と感想を語った。