【J2いわきFC/2年目の挑戦・上】目指す強気の守備、浸透

 
「DFとしても楽しみは多い」と充実感をにじませる照山(右から2人目)=いわきFCフィールド

 サッカーJ2の開幕が24日に迫った。昨季からチームの約半数が入れ替わったいわきFCは開幕に向け、一からのチームづくりを進めてきた。J2の2年目のシーズンに闘志を燃やすチームの現状を3回にわたって紹介する。

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 「アップ、アップ!」。いわきFCが1月から今月にかけて実施した鹿児島キャンプの会場に、DFラインを上げるよう味方に指示するDF照山颯人の声が響き渡った。昨季J3ベストイレブンに選出され、今季からいわきに加入した23歳は「めちゃくちゃ攻撃的な守備で、DFとしての楽しみも多い」と充実感をにじませた。

 一からのチームづくりをする中、DFのメンバー確立は喫緊の課題だ。照山には守備のリーダーとして大きな期待が寄せられている。

 キャンプ終了から2週間後の18日に行われた福島ユナイテッドFCとの「福島ダービー」では、照山を中心とした守備の練度の高まりを感じさせる場面が見られた。

 開始直後から「襲いかかる」ように敵陣でプレスを仕掛けた。FWの駆け出しを合図に全体が連動し、相手に息つく暇を与えずボールを奪い取る。チームは守備で主導権を握り、2得点を挙げた。ただ、2度のリードを守れずに結果は引き分け。照山は「50%くらいしか力を出せていない」と反省した。

 失点の形を見ると、1点目は前がかりになった背後を突かれ、2点目は運動量が落ちる終盤に守備ブロックを崩された。照山が特に反省するのは1失点目。「DF裏を取られて失点をすると前線も奪いに行きづらくなる。DFは責任を持って守らないといけない」

 今季「65得点45失点」を掲げ、昨季の45得点69失点からの躍進を誓う田村雄三監督が目指すのは強気の守備。「奪いに行くことをリスクと思わない」という哲学は今年も変わらない。強気の守備はDFに大きな負担を強いることを意味するが、指揮官にはそれによってDFの成長を促したいという狙いもある。

 福島ダービーについて「終盤に緩い守備があった」と田村監督。守りからリズムをつくるサッカーの実現のため、開幕に向けさらに引き締めを図る。