【J2いわきFC/2年目の挑戦・中】つなぐ攻撃...敵陣の隙へ

 
攻撃の組み立ての中心として活躍が期待される下田(中央)

 カウンターを主体としてきたいわきFCに今季、攻撃の柱として新たなバリエーションが加わっている。選手らが度々口にするのは「ボールを大切に」という言葉。ボールを保持して相手選手を自陣に引きつけ、敵陣に攻め込むスペースを生み出すプレーを意味する言葉だ。

 18日に行われた福島ユナイテッドFCとの「福島ダービー」では、こうした「つなぐ攻撃」を意識した試みが随所に見られた。「3・4・3」の布陣から3バックがゆっくりとボールを運び、短いパスで相手を揺さぶる。相手が食いついた瞬間を見逃さずに縦パスで攻撃のスイッチを入れると、前線と中盤、サイドが一気に連動。ワンタッチパスやフリックパスを織り交ぜて相手の背後を取り、多くの好機を演出した。

 生み出したスペースを使うのは、ウイングバック(WB)の選手。ダービーで挙げた2得点も両サイドの攻め上がりがきっかけとなった。右WB加瀬直輝や両WBをこなす嵯峨理久の運動量とスピードを生かせるかが鍵となる。

 キャンプで田村雄三監督が課題として挙げていた「相手が奪いに来た時に、DF裏や逆サイドへ展開する」プレーも見られるようになった。ただ、ダービーでは途中からスペースを埋めてきた福島に苦戦を強いられた。

 複数の選手が「相手が来ない時は、ボランチが中盤で前向きにボールを持ちたい」と反省を口にした。こうした相手との「駆け引き」を得意とするのは、ダービーをけがで欠場したMF下田栄祐。昨季途中からブレイクした19歳を経由すれば、より多くの攻撃がつくられるだろう。下田は「昨季が良かった分、マークは厳しくなると思う。でもその壁を越えていきたい」と意気込む。

 堅守速攻が持ち味のチームだが、それだけではないところを見せられるか。新チームの仕上がりに注目が集まる。