【J2いわきFC/2年目の挑戦・下】肉体強化で「速く大きな力」発揮

 
自重トレーニングを行ういわきの選手と田村監督(中央)。今季はより効果的な肉体強化を目指している=1月、いわきFCフィールド

 「日本のフィジカルスタンダードを変える」。筋力トレーニング重視の練習をこなしながら、JFLやJ3など各ステージを勝ち抜いてきたいわきFC。だが、昨季初参入したJ2では22チーム中18位と苦戦を強いられた。

 チームを運営するいわきスポーツクラブの大倉智社長は「J2で本当にフィジカルで圧倒できたのかというと、私の感覚では、意外と負けていたと思う」と率直に認める。チーム最古参のMF山下優人は「筋トレをガシガシやってきたが、それで本当に体をうまく使えているのか、と思った」と昨季を振り返った。

 そういった問題意識から今季始まったのが、効果的な肉体強化を目指す「フィジカルスタンダードを変える バージョン2」だ。米大リーグや日本のプロ競泳、陸上などで指導してきた友岡和彦氏をコーチに招聘(しょうへい)し、自重トレーニングのほか、元レスリング選手によるトレーニングを行ったりしている。田村雄三監督は「速く大きな力を発揮するためのトレーニングを行っている」と説明する。

 新しいトレーニングの進展状況は、現状のスタメン起用に影響を与えている。「バージョン2」の高度なトレーニングに取り組めるのは、筋力などに土台がある昨季から所属する選手たち。今季新加入の選手の体づくりはまだそこまで進んでいない。今季チームの約半数が入れ替わったにもかかわらず、18日の福島ダービーに先発した新加入選手が3人にとどまった背景には、そんな事情がある。

 チームはシーズン開幕後、毎週の試合に全力を注ぎながら、新加入選手の体づくりにも目を配らなければならない。田村監督は気を引き締める。「難しいサイクルがいよいよ始まるな、という思いが強まっている」

 24日、J2を舞台としたいわきの第2章が幕を開ける。