いわきFC、決定力に泣く 磐田に0―1、田村新体制で初黒星

 
【いわき―磐田】後半40分、磐田のFWジャーメイン(右から2人目)に先制ゴールを許し、ゴール前で倒れ込むいわき守備陣=いわきグリーンフィールド

 サッカーJ2第28節ー。サッカーJ2のいわきFCは29日、ホームのいわきグリーンフィールド(いわき市)で2位ジュビロ磐田と対戦し、0―1で敗れた。いわきは監督交代後8試合目での初黒星。通算成績は8勝7分け13敗。順位は暫定で一つ下げ、22チーム中18位に後退した。この日の入場者数は5039人で、Jリーグホーム公式戦の最多入場者数を記録した。

 いわきは前半から何度も決定機をつくったが、ゴールを奪えず、後半40分に磐田に決勝点を許した。

 いわきの次戦は8月6日。アウェーのトランスコスモススタジアム長崎(長崎県諫早市)で、6位V・ファーレン長崎と対戦する。午後6時開始予定。

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【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】いわきは握った主導権を生かせず、1点に泣いた。前半は序盤こそ押されたが、次第に磐田を攻め立てた。4バックで守る磐田とのシステムのずれを利用し、ピッチを広く使って好機を演出。後半は運動量で上回り、一層ペースを握った。特に立ち上がりは何度も決定機をつくったが、最後の精度が足りず、膠着(こうちゃく)状態の中、終盤に失点。攻撃では最後までゴールを割れなかった。(小磯佑輔)

 老練磐田に突かれた隙

 試合を通してペースを握っていたのは、いわきだった。相手の2倍以上となる21本のシュートを放ち、決定機もつくれていた。それでも得点に結びつかない。「決められる時に決めないと苦しくなる」。攻守で奮闘したMF宮本英治は、淡々と振り返った。

 この日、光っていたのは戦術の柔軟性だ。選手の特徴に合わせて戦いの形を選ぶ、田村雄三監督の「らしさ」が存分に出ていた。

 前半は中盤が本職の宮本をセンターバックの一角に据えた3バックで挑んだ。戦術理解度の高い宮本を最後列に据えたことで、安定した組み立てから遅攻と速攻を織り交ぜた。

 後半途中からは選手交代に合わせて4バックに変更。2トップで攻める磐田に対応しつつ、サイドのコンビネーションからゴールに迫った。

 ただ戦術が良くても、選手個々の能力は磐田に分があった。回数こそ少なかったが、好機では個々の技術を生かして確実にゴールへ迫っていく。先制後はきっちりと要所を締め、危なげなく逃げ切るあたりも試合巧者だ。宮本は「抑えどころが分かっているチーム。時間の使い方を含めて、手堅かった」と受け入れる。

 「内容はどうあれ、結果は負け。ちょっとした質の差が、ちょっとした差ではない。順位の差に表れていると思う」とも語る宮本。いわきは次戦、この日と同じような展開で前回敗れた長崎と戦う。課題を修正し、成長した姿を見せることで、勝利という結果がついてくる。(小磯佑輔)

 19歳下田奮闘

 「J1級の高いレベルの選手と互角に戦うことができた。自分の成長につながる試合だった」といわきのMF下田栄祐は敗戦の中で光を見いだした。

 前節の大分戦で田村雄三監督体制になってから初めてのスタメン落ち。指揮官から「このままでは(将来の日本)代表を背負うことはできない」とハッパをかけられ「悔しかったが、プロの厳しさを教えてもらった」と自分を見つめ直し、気を引き締めた。

 この日は後方でパスをつなぎ、攻撃の起点となった。「まだまだ通用しないこともあった。攻守で絶対的な存在にならないといけない」と成長し続ける19歳は、先を見据えた。