いわきFC、後半猛攻 熊本に4-2で勝利、15位に浮上

 
【熊本―いわき】後半27分、チーム4点目となるシュートを決め、仲間と喜ぶいわきのMF山下(中央)=熊本市・えがお健康スタジアム

 サッカーJ2第32節ー。いわきFCは27日、アウェーのえがお健康スタジアム(熊本市)でロアッソ熊本と対戦し、4―2で5試合ぶりの勝利を手にした。いわきの通算成績は9勝10分け13敗で、順位は22チーム中15位に浮上した。

 いわきは前半9分、CKにDF家泉怜依が合わせて先制。熊本に逆転を許し、3人を入れ替えて臨んだ後半は16分にCKから再び家泉が合わせて同点とすると、23分、27分とMF山下優人が立て続けにゴールを決め、熊本を突き放した。

 いわきは次戦の9月3日、ホームのいわきグリーンフィールド(いわき市)で10位ファジアーノ岡山と対戦する。午後6時開始予定。

いわきFCの試合結果

【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】勝ち点で並ぶチーム同士の一戦は、後半に攻勢を強めたいわきに軍配が上がった。いわきは前半9分に先制した後、前線にボールを供給できなくなり、2点を奪われて勝ち越しを許した。いわきは後半開始に3人を入れ替えると、サイド攻撃が機能するようになり、形勢が逆転した。後半16分にCKからDF家泉のゴールで同点とし、さらにMF山下の2ゴールで勝利を決定付けた。(佐藤智哉)

 山下決勝弾、J初ゴール

 チーム最古参のゴールが勝利に導いた。主将のMF山下優人が2ゴール2アシストと躍動した。いわきは引き分け以下で順位が後退する状況だったが、むせ返るような暑さの敵地で貴重な勝ち点3を奪取。J3時代も含めてJリーグで初ゴールとなった山下は「順位的にも勝ちがほしい状況で、力になれて良かった」と涼しい顔で語った。

 普段は中盤の要としてプレーする山下だが、前半は「いわきに来て初めて」という左サイドで起用された。「主将でボランチで信頼もある山下に刺激を与えたいと思った」と意図を語った田村雄三監督。成長を促すための新たな試みだったが、先制した後から次第にリズムを崩し、前半は熊本に逆転を許した。

 それでも山下は冷静だった。後半は中盤にポジションが戻ると「あまり考えすぎずに自分の仕事に徹しようと思った」。息を吹き返したように攻撃が活性化し、後半16分に精度の高い左足からのCKでDF家泉怜依の同点ゴールをお膳立てすると、その後に自らの左足で2ゴールを奪って勝ち越した。4得点全てに絡み「奇跡みたいな日です」と笑みがこぼれた。

 2019年の東北社会人1部時代からプレーする山下。待望のJ初ゴールはチームにも好影響を与えそうだ。「順位は団子状態。今回のこの勢いを保ったまま次戦に臨みたい」とポーカーフェースに秘めた闘志をのぞかせた。(佐藤智哉)