いわきFC、不完全燃焼 仙台とドロー「内容は負けに等しい」

 
【いわき―仙台】前半18分、先制ゴールを決めるいわきのMF岩渕(左)=ハワイアンズスタジアムいわき

 サッカーJ2第38節ー。いわきFCは8日、ホームのハワイアンズスタジアムいわき(いわき市、いわきグリーンフィールド)でベガルタ仙台と対戦し、2―2で引き分けた。通算成績は11勝11分け16敗。いわきは順位を二つ上げ、22チーム中17位に浮上した。次戦に勝利すれば、降格圏のチームの勝敗次第でJ2残留が決まる。

 いわきは前半18分、MF岩渕弘人のゴールで先制した。同35分にPKを献上して追い付かれ、後半12分にはパスミスから逆転を許したが、同23分にMF永井颯太が同点弾を決めた。

 次戦は21日。同会場で2位清水エスパルスと対戦する。午後1時開始予定。

仙台戦スコア

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 【評】いわきは前半18分、細かいパスで仙台を攻略して先制した。その後にボール支配を強めたものの、次第に仙台にボールを握られて押し返された。同35分にはPKを決められて同点とされた。後半12分にはパスミスから勝ち越し点を許したが、同23分にMF永井のゴールで同点に追い付いた。その後は両チームとも果敢に攻めたが、決定機は少なかった。(小磯佑輔)

 ミスから失点、守りに隙

 いわきは引き分けに持ち込んだが、田村雄三監督は「内容は負けに等しかった」と厳しい表情を崩さなかった。指揮官にとっては、攻守に物足りなさを残す結果となった。

 滑り出しは悪くなかった。前半18分、自陣から息の合ったパスワークで相手ゴール前まで前進。クロスボールのこぼれ球をMF岩渕弘人が押し込み先制した。

 岩渕は「最近はどこを突いていくかの意思統一ができている。みんなが自信を持ってプレーした結果、自分のところにボールが転がってきただけ」と先制ゴールを振り返った。

 しかし、この攻撃が続かなかった。相手の背後を突くランニングが少なく、ゴールに近づく選択肢をつくれなかった。「あれだけ足元だけでプレーすると、仙台のDF陣にとっては楽だったと思う」。田村監督は課題を口にした。

 守備でも課題が出た。「プレスをかけられなかった」と岩渕。全体の運動量が足りず、MF下田栄祐の両脇のスペースから攻め込まれた。守りでリズムをつくれない中、ミスも重なって2失点した。岩渕は「『誰がミスをしたか』という話ではない。チーム全体で克服したい」と話した。

 いわきは次戦、前回の対戦で1―9と大敗した清水と戦う。岩渕は「(前回の対戦は)自分たちを見つめ直すきっかけになった。次は成長したところを見せるチャンスになる」と意気込んだ。(小磯佑輔)

 永井プロ初ゴール

 後半23分、勝ち点を引き寄せる同点弾を決めたいわきのMF永井颯太は「頭が真っ白になった。気持ち良かった」とプロ初ゴールを喜んだ。

 後半21分から途中出場し、歓喜の瞬間は2分後に訪れた。ゴール前のこぼれ球に反応、コースを選ばずに右足を振り抜いた。

 前節の町田戦では守備のミスで失点を招いた。「『チームのため』という意識が欠けていた」と永井。練習で自身と向き合い、準備した成果を結果で示した。

 「積極的なドリブルやシュートで結果を残して、チームを救いたい」と永井。最終盤を迎える中、永井の躍動がチームを勢いづける。