いわきFC、残留持ち越し 前半で退場者、攻守粘ったが...千葉に惜敗

 
【千葉―いわき】前半、相手に囲まれながらもシュートを放ついわきのMF岩渕(右から2人目)=フクダ電子アリーナ

 サッカーJ2第40節ー。いわきFCは29日、アウェーのフクダ電子アリーナ(千葉市)で5位ジェフユナイテッド千葉と対戦し、0―1で敗れた。いわきは2連敗で、J2残留を次節以降に持ち越した。通算成績は11勝11分け18敗で、順位を二つ下げて22チーム中19位になった。

 今節でJ3降格圏の21位大宮が敗れ、いわきとの勝ち点差は「5」のまま。次節でいわきが勝利すればJ2残留が確定する。引き分けか、負けた場合も大宮が勝てなければ、いわきのJ2残留が決まる。

 いわきの次戦は11月4日。ホームのハワイアンズスタジアムいわき(いわき市、いわきグリーンフィールド)で7位モンテディオ山形とホーム最終戦を戦う。午後2時開始予定。

いわきFCの試合結果

 【評】いわきは数的不利の状況をはね返せなかった。前半はコンパクトな守備で千葉の攻撃を食い止め、カウンターを軸に反撃。MF岩渕がシュートを多く放ち、好機の数では千葉を上回った。しかし前半終了間際にDF遠藤が2度目の警告により退場し、後半は守勢に回った。粘り強い守りで持ちこたえたが、終盤にCKの流れから決勝点を押し込まれた。(小磯佑輔)

 終盤に失点、前半の戦い悔やむ

 10人での戦いを強いられても、いわきの選手たちは前向きだった。「こういう状況を楽しもう」。ハーフタイムには選手からそんな声が上がったという。終盤に痛い失点を喫して力尽きたが、MF岩渕弘人は「やるべきことをみんなで共有できていた」と、最善を尽くした試合を振り返った。

 1人少なくなった後半もあくまで得点を狙っていった。ゴール前まで引いて守るのではなく、中盤で構えて千葉を迎え撃つ。FWが1人少ない「4・4・1」の布陣だったことから前線にボールが収まる回数は少なかった。それでもゴールに向かう姿勢は最後まで貫いた。

 悔やまれるのは、退場者を出すまでの前半の戦いだ。リーグ後半戦に限れば最多の勝ち点を積み上げている実力者・千葉のゴールを度々脅かした。MF岩渕はチーム最多の3本のシュートを放っており、「自分には2、3度決定機があり、決めていれば展開は違っていた。責任を感じている」と顔をしかめる。

 岩渕は「アウェーにたくさんの方々が応援に来てくれた中で、こういう試合をしてしまった」とも語った。この日、千葉の地まで駆け付けたいわきサポーターは約千人。サポーターと喜びを分かち合えるのも今季あと2試合で、次がホーム最終戦となる。岩渕は誓う。「最後のホーム戦だから勝って終わりたい。(サポーターの)皆さんに勝利を届けたい」(小磯佑輔)

 最年長の田中、好セーブ

 いわきのGK田中謙吾は前半に退場者を出し、自陣に攻め込まれる時間が続いた中で好セーブを連発した。スタジアムに駆け付けたサポーターからは試合終了後に「謙吾コール」が湧き起こった。

 出場機会に恵まれなくても、気持ちは腐らなかった。「最年長でもあるので毎日に懸ける思いも強く持って練習してきた。その積み重ねがスタメンにつながったと思う」。今季2試合目の先発出場を自力でつかみ取った33歳のベテランは、試合でもプレーで存在感を見せつけた。

 一方で試合終了間際に失点し「サポーターに笑顔で帰ってもらいたかった。まだ成長しないといけない」と反省した。J2残留が懸かる負けられない試合が続く中で田中は「またいいパフォーマンスができるように準備をしていく」と頼もしく語った。