いわきFC、J2残留確定 ホーム最終戦、山形に逆転負け

 
【いわき―山形】試合後のホーム最終戦セレモニーでサポーターに感謝の思いを伝えるいわきイレブン =いわき市・ハワイアンズスタジアムいわき

 サッカーJ2第41節ー。いわきFCは4日、ホームのハワイアンズスタジアムいわき(いわき市、いわきグリーンフィールド)で7位モンテディオ山形と対戦し、1―3で逆転負けした。一方、残留争いをしていた大宮は2位清水に敗れ、J3自動降格圏となる21位が確定。最終節を待たずにいわきのJ2残留が確定した。

 ホーム最終戦に臨んだいわきは後半11分、FW岩渕のFKをFW有馬が右足で合わせて先制した。しかし6分後にCKから同点ゴールを許すと、同24、35分と立て続けに失点して突き放された。いわきは3連敗で、通算成績は11勝11分け19敗。順位は22チーム中19位のまま。

 今季J2に初参戦したいわきは第4節の仙台戦で初勝利、第5節の徳島戦でホーム初勝利を挙げた。しかしその後は5連敗を喫するなど成績が振るわず、6月に村主(すぐり)博正監督を解任、田村雄三ゼネラルマネジャー(GM)が監督に復帰した。

 監督交代後は成績が上昇、J1初昇格を決めた町田をアウェーで破るなど、前期の4勝を上回る7勝を積み上げ、J2残留を果たした。

 最終節となる次戦は12日、アウェーの藤枝総合運動公園サッカー場(静岡県藤枝市)で12位藤枝MYFCと対戦する。午後1時開始予定。

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【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】いわきは相手の3倍近い17本のシュートを放ったが、精彩を欠いて逆転負けした。試合は山形がボールを保持し、いわきがカウンターからゴールを目指す展開。いわきはコンパクトな守りで山形を苦しめ、多くの好機を演出した。後半11分にFKから先制点を決め、その後も度々攻め込んだが枠を捉えられず。山形が縦に速いサイド攻撃から数少ない決定機を着実に決め、3得点を挙げた。(小磯佑輔)

 沸き立った有馬弾、けが乗り越え419日ぶり

 J2残留を勝利で決めることはできなかった。悔しさが際立つホーム最終戦となったが、そんな試合の中でいわきイレブンとサポーターが歓喜に沸いた場面があった。後半11分、FW有馬幸太郎による先制点だ。「本当にうれしかった」。昨年9月のJ3北九州戦以来419日ぶりのゴールで、今季初得点を記録した苦労人が顔をほころばせた。

 FKの場面で、MF岩渕弘人のクロスを懸命に伸ばした右足で押し込んだ。オフサイドを狙って強気のハイラインを敷く山形の裏を取り、「速いクロスに飛び込むことを意識していた」という有馬。駆け引きに勝ち、狙い通りの動きでチームの先制点をもぎ取った。

 昨年9月から右ひざの故障で戦線を離れ、今年4月に復帰した。

 しかし、その復帰戦で相手選手と接触し、右ひざ靱帯(じんたい)を損傷。再び復帰したが、10月には右足首の捻挫と左足かかとの打撲で3度目の離脱を経験した。「本当に苦しいシーズンだった」

 得点後、チーム全員が有馬のもとに駆け寄り祝福した。「リハビリに対する姿勢はすばらしいし、悔しいはずなのにチームのために行動する。有馬はプロフェッショナルだ」。田村雄三監督は最大級の賛辞を贈る。

 有馬は「J2残留はチーム全員の1年間の頑張りのおかげ。けがでプレーする試合が少なかった分、感謝の思いがある」と語る。ホーム最終戦で勝てなかった悔しさは、次戦の今季最終戦でぶつけるつもりだ。「やるべきことは変わらない。最後もいわきらしい戦いで勝ちたい」(小磯佑輔)

 速水空中戦で存在感

 いわきのDF速水修平は出場停止のDF遠藤凌に代わってセンターバックに入り、6月の山形戦以来となる先発出場を果たした。空中戦で無類の強さを発揮して前半を無失点でしのぎ、「前よりは成長した姿を見せられたと思う」と手応えを語った。

 後半も安定した守備を見せていた速水だったが、結果的にセットプレーやカウンターなどから3失点を許した。「失点を防がないといけないのがセンターバック」。リードを守れなかったことを悔やんだ。

 7月初旬から10月末まで、出場機会がなかった。最終盤で巡ってきた出番に「いいアピールができたと思うが、まだまだ成長できるところはある」と速水。最終節も貪欲に戦うことを誓った。