新シーズンへ弾み 「福島ダービー」両クラブ、手応えと課題

 
試合後、「チカラをひとつに。―TEAM AS ONE―」と書かれた横断幕を持ち、サポーターに手を振るいわきと福島の選手たち=18日、広野町・Jヴィレッジスタジアム

 福島県広野町のJヴィレッジスタジアムで18日に行われたサッカーJ2のいわきFCとJ3の福島ユナイテッドFCが対決する「福島ダービー」。今季開幕まであと1週間と迫る中、両クラブが闘志をたぎらせて臨んだ一戦は、互いに手応えを感じる試合となった。両クラブのサポーターは声援を響かせ、開幕が近づく今シーズンに期待を寄せた。

 いわきはリードを守れずに引き分けたが、田村雄三監督は前向きだ。失点を課題に挙げつつ「守備は8割方でき、狙った攻めもできた」と手応えを語る。試合前には復興の拠点となったJヴィレッジの当時の写真を選手に見せて「ここでプレーする意味や幸せをかみしめてほしい」と本県復興の熱意も選手に伝えた。

 先発出場した尚志高卒のMF加瀬直輝はサポーターの大声援に「甘いプレーは絶対にできない」と使命感をにじませ「開幕戦はもっと良い試合をしたい」と力強く語った。

 一方、福島の寺田周平監督は「ボールをもう少しにぎれないと好機は増えない」と厳しい表情。ただ「諦めずに同点に追い付き、逆転を目指す姿を見せてくれた選手を誇りに思う」とたたえた。

 この日の福島ダービーは、復興へ歩む地域の発信なども開催の目的だ。福島加入2年目で、フル出場した須賀川市出身のDF柴田徹は「サッカーで福島を盛り上げたい。県内の2クラブが切磋琢磨し、さらに上のカテゴリーに進めば、より福島の発展につながる」とさらなる前進を誓った。

 サポーターら3588人来場

 来場した両クラブのサポーター3588人は、両雄の譲らぬ戦いに湧いた。本格始動から9年目を迎えたいわきサポーターで、いわき市の野田昇さん(62)は「年代も幅広いサポーターが大勢集まる光景に感無量だ」と笑顔。同市のサッカースポ少に所属する泉青兎(あおと)さん(11)は「アシストしたDF嵯峨理久のプレーが良かった。動きを参考にしたい」と目を輝かせた。

 福島サポーターで福島市の阿部英輝さん(33)は「互いに負けられない一戦だった。今季は互いに良い順位になってほしい」と願う。喜多方市の沖井媛香さん(9)は「J2昇格に向けて頑張ってほしい。MF森晃太選手を応援しているが、新加入選手にも注目している」とエールを送った。