いわきFC連勝、5位浮上 栃木に1-0逃げ切り、サッカーJ2

 
【栃木―いわき】前半28分、先制ゴールを決めるいわきのFW谷村海那(左)=カンセキスタジアムとちぎ

 サッカーJ2第12節-。いわきFCは28日、アウェーのカンセキスタジアムとちぎ(宇都宮市)で栃木SCと対戦、1―0で逃げ切り、今季2度目の2連勝を飾った。通算成績は5勝4分け3敗で、20チーム中5位に浮上した。

 いわきは前半28分、DF大森理生からパスを受けたMF五十嵐聖己のクロスをFW谷村海那が右足で合わせて先制。この1点を最後まで守り抜き、無失点で白星をつかんだ。

 いわきは次戦の5月3日、ホームのハワイアンズスタジアムいわき(いわき市)で10位のジェフユナイテッド市原・千葉と対戦する。午後4時開始予定。


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【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】いわきが栃木の反撃に耐え、守り勝った。前半28分にFW谷村のゴールで先制。しかし、その後の決定機で追加点を奪えないまま後半30分を過ぎると、相手の猛攻を受ける時間が続いた。いわきはMF大西をサイドに配置するなど、フォーメーションを変更して相手のクロスやロングスローに対応。最後はDF陣を中心にゴール前で体を張り、無失点で切り抜けた。(佐藤智哉)

 谷村、冷静に先制ゴール

 いわきのFW谷村海那は前半28分、MF五十嵐聖己(せな、尚志高卒)のクロスに合わせて今季6ゴール目をマークした。「コースを突くよりは枠に入ればいいと思って合わせた。暑くて難しい試合となったが、勝ててよかった」と淡々と振り返った。

 7ゴールを挙げた昨季の記録に、あと1ゴールに迫る。好調のストライカーは「得点に関しては順調。ただ昨年と争っているわけではないので、今年は貪欲に倍取れたらいいと思っている」と力を込めた。


 大森奮起、兄弟対決制す

 薄氷を踏むような勝利だった。いわきは相手に攻め込まれる時間を耐えしのぎ、ロースコアの試合をものにした。「DF陣だけでなく、力を合わせて守り切ったことに価値がある」。無失点に貢献したDF大森理生(りお)は試合終了の笛を聞き届けると、息を切らしながら仲間と肩を寄せ合い、勝利の喜びを分かち合った。

 大森にとって勝ちたかった理由が二つあった。一つは開幕から全試合続いていた先発出場が前節の大分戦で途絶えたものの、この日は2試合ぶりにスタメンに復帰したことだ。「先発を外れ悔しかったが、DFだからこそ、インパクトを残すプレーよりもチームを勝たせることが大事だと思った」。勝利への強い思いを秘めて臨んだ。

 終了までの最後の15分間には、特にその思いが表れた。ホームで勝ち点がほしい栃木の勢いに押され、自陣に押し込まれる時間が続いた苦しい状況。スリーバックの一角を担った大森は献身的に体を張った。ロスタイムには、スライディングで相手のシュートをはね返し、執念がプレーに宿ったようだった。

 勝ちたかったもう一つの理由は、サッカーを始めるきっかけとなった兄のMF渚生(しょう)との直接対決がプロで初めて実現したことだ。両親も応援に駆け付けた中、大森は「恩返しのプレーがしたかった」と振り返った。

 次は9月にホームで栃木を迎える。2度目の兄弟対決の実現に向けて「二つとも勝って本当の勝利だと思う。そこを狙う」と頼もしく語った。(佐藤智哉)

240429iwakifc703.jpg【栃木―いわき】前半36分、兄で栃木のMF大森渚生(右)と競り合ういわきのDF大森理生=カンセキスタジアムとちぎ