川内村長に遠藤雄幸氏、無投票で6選

 
6選を果たし万歳する遠藤氏。右は妻ゆう子さん

 任期満了に伴う川内村長選は9日告示され、無所属で現職の遠藤雄幸氏(69)=5期=のほかに立候補の届け出はなく、遠藤氏が無投票で6選を果たした。無投票となるのは8年ぶり。

 遠藤氏は東京電力福島第1原発事故に伴い国の避難指示が出た市町村で唯一、震災当時から首長を務める。今回は新たな産業の育成、工業団地への企業誘致、交流人口増加に向けた観光振興策などを訴えた。

 当選証書付与式は15日午前10時から村役場で行われる。任期は25日から4年。

 帰還促した手腕信任

 【無投票の軌跡】川内村長選で無投票6選を決めた現職の遠藤雄幸氏(69)は震災前から村のかじ取り役を担ってきた。全村避難からの帰還を促す環境整備を着実に進めた手腕と村政が信任を得た形だ。

 遠藤氏は昨年12月議会で出馬を表明した。前回は多選の弊害を訴えた新人候補が出馬しただけに、今回も当初は選挙戦の向きもあった。だが次第に無風状態となり、ある村議は「対抗馬がいない。信任を得た結果ともいえる」と説明した。

 全村避難を経て帰還率は83%。震災後に始めたワイン醸造や生食用ブドウ栽培など新たな産業の成果が出ている。一方で急激な人口減少や少子高齢化といった厳しい現実への対策が急務だ。村役場新庁舎の建設、旧川内中の利活用などの課題もあり、6期目は復興の先の村づくりが問われる。(ふたば支社・国分利也)