川内村議補選、井出氏が当選 投票率53.42%、新人女性一騎打ち

 

 定数割れに伴う川内村議補選(欠員1)は14日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属の新人で食品製造販売業の井出裕子氏(55)が当選した。

 任期は14日から2027年11月19日まで。投票率は53.43%。当日有権者数は2029人(男性1032人、女性997人)。

◇川内村議補選開票結果
(欠員《1》・選管最終、敬称略)
当704 井出裕子  55 無新
 337 福塚裕美子 38 無新

 なり手不足一転、選挙戦

 川内村議補選が行われたのは、昨年11月の任期満了に伴う村議選で定数10に対し、立候補者が9人にとどまり、欠員1の「定数割れ」となったためだ。高齢化のあおりによる議員のなり手不足が主因とみられた。その約5カ月後、1議席を巡る村議補選は一転して、新人の女性2人が争う意外な展開となった。

 村選管によると、1947年以降、村議補選の実施は約55年ぶり3回目。村議選の無投票は91年の1度のみと政争が激しい土地柄。だが、昨年11月の村議選は県内3例目の定数割れで終わった。その背景には同年7月、唯一の女性議員だった新妻幸子さんが交通事故で亡くなったことに加え、引退議員の後継者がいなかったこともあった。

 補選にはともに無所属の井出裕子氏(55)と福塚裕美子氏(38)が出馬した。井出氏は村出身の自営業者で、村教育委員などで村政に携わる女性リーダーの一人だ。一方の福塚氏は東日本大震災後の移住者ではあるが、地元に根付いて花屋を営み、双葉郡の移住者の代表的存在でもある。

 村の将来を案じる女性同士の一騎打ち。といっても両陣営は選挙カーを走らせず、互いに普段の仕事をこなしながらの静かな選挙戦だ。同日程の村長選が無投票となり「今回は投票に行かない」(村民)との声も漏れた。投票率は53.43%で、通常の村議選の80%台に届かなかった。だが「思ったより投票率が伸びた」(村議)との見方も出た。

 「ようやく新妻さんに顔向けできる」。井出氏は当選証書を手に思いを語った。実は昨年の村議選への立候補を模索したが断念した。「新妻さんの後継として自信がなかった。気持ちを整理し、村政に挑む決意を固めた」という。復興へと歩む川内村に誕生した村政史上4人目の女性議員が新風を吹かせることに期待したい。(ふたば支社・国分利也)