苕野神社再建に着手、浪江・請戸 津波で社殿流出 来年2月完成

東日本大震災の津波で社殿が流失した浪江町請戸の苕野(くさの)神社の再建に向け、氏子総代は12日、建設工事の地鎮祭を現地で行った。請戸の漁師たちの豊漁と海上安全を祈る「安波祭(あんばまつり)」が来年2月18日に予定されており、これに合わせて新しい神社が完成する見通しだ。
地鎮祭には関係者13人が出席した。氏子総代長の五十嵐光雄さん(75)=富岡町に避難=が工事の安全を願ってくわ入れし「神社の再建が始まり、やっと安心できる。(災害危険区域の)請戸にはもう誰も住めないが、神社は地域住民の心のよりどころになる」と話した。
請戸地区は震災後、住宅を新築できない災害危険区域に指定され、住民が散り散りになった。氏子ら関係者は「請戸に人々が生きた証しを後世に残したい」と再建の準備を進めてきた。
新しい神社は延べ床面積42平方メートルで、震災前の跡地に建築様式「流造」の本殿や神殿、拝殿などが建てられる。周辺は防災林として整備される。
太平洋から約200メートルの沿岸にあった神社は津波で社殿が全て流失し、宮司らも犠牲になった。東京電力福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされた中、氏子らが2012年に小さな仮の社殿を設けた。地元の請戸芸能保存会も江戸時代から続く安波祭の伝統のともしびを絶やすまいと、本来は社殿で行う「請戸の田植踊(たうえおどり)」といった伝統芸能を町民が避難した福島市の仮設住宅で続けてきた。避難指示解除を受け、安波祭は18年から古里で復活している。
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