福島・大熊の一部、19年5月にも避難指示解除 第1原発立地町で初

 
原発事故で全町避難が続く大熊町

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く大熊町で、来年5月にも一部地域の避難指示が解除される見通しになったことが13日、分かった。

 町は復興拠点に位置付ける大川原地区(居住制限区域)に整備中の役場新庁舎で早ければ5月7日に業務を始める予定で、業務開始前後をめどに同地区と中屋敷地区(避難指示解除準備区域)の避難指示解除を目指す。避難指示が解除されれば、第1原発が立地する大熊、双葉両町では初めて。

 13日に南相馬市で開かれた町政懇談会で、町は新庁舎が来年3月末に完成し、4月中に開庁式を行う見通しを示した。分散する役場機能や職員の引っ越しを来春の大型連休期間に完了し、その後に業務を始める。

 町関係者によると、避難指示の解除日は新庁舎での業務開始前後をめどに調整する。町議会、住民説明会、放射線に関する専門家などでつくる除染検証委員会の意見を踏まえ、国と協議を進める。

 新庁舎には、出張所や連絡事務所を置く会津若松、いわき、郡山の3市に分散している役場機能と議会を集約する。

 町によると、新庁舎での業務は約100人態勢。町立の幼稚園や小、中学校がある会津若松市には教育委員会が残り約20人、いわき市で約20人、郡山市では6人前後が業務を継続する見通し。3市には町民窓口を残す。

 原発事故による避難指示で双葉郡の8町村と飯舘村が役場機能を町村外に移転したが、第1原発が立地する大熊、双葉両町を除き、すでに地元に帰還している。避難指示解除は浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区と富岡町で、一部を除き行われた2017(平成29)年春以来となる。