福島と霊山409世帯、ADR仲介手続き打ち切り 東電が和解案拒否

 

 東京電力福島第1原発事故を巡り、福島市大波地区と伊達市霊山町の雪内、谷津地区の409世帯1241人が東電に損害賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、国の原子力損害賠償紛争解決センターが仲介手続きを打ち切ったことが23日、住民側でつくる原発被災者弁護団への取材で分かった。

 住民側の代理人によると、センターは、和解仲介を求めた409世帯のうち、栽培するコメから1キロ当たり100ベクレルを超える放射性セシウムが検出された福島市大波地区の生産者30世帯にのみ、1世帯30万円を支払うことが妥当とする和解案を提示していた。

 しかし、東電は2回にわたり和解案を拒否。その後、センターは昨年12月、仲介手続きを打ち切ることを住民側に通知していた。

 住民側代理人の吉野高弁護士は「東電の姿勢は極めて横暴で、センターの紛争解決機能は失われてしまう」と述べた。東電は福島民友新聞社の取材に「熟慮を重ねたが、その一部について和解案に基づく賠償を行うことは難しいとの結論に至った」とコメントした。