原発事故「生業訴訟」最高裁へ 原告一部と国、東電が上告

 

 東京電力福島第1原発事故当時、福島県などに住んでいた約3650人が国と東電に損害賠償などを求めた集団訴訟(生業訴訟)で、原告の一部と、国、東電は13日、被告側に約10億1千万円の賠償を命じた二審・仙台高裁判決に対し、上告した。原告側は48人。残りの原告は付帯上告する方針。

 原子力規制庁は国の上告理由について、二審判決が認めた大津波の予見可能性と事故の結果回避可能性を否定。また「同種訴訟が多数継続しており、国の責任の判断が分かれている状況で判決を確定させると、異なる裁判所の判断が併存することになるので、最高裁の判断を仰ぐ必要がある」とした。

 東電は「判決内容を十分に精査した結果、総合的に判断し上告を提起することとした」とのコメントを発表した。

 原告側の上告は、一部の住民の賠償が認められなかったことや、減額されたことなどを理由としている。

 原告側弁護団は13日、福島市で記者会見し「被害の実態に合っていない賠償を一日も早く確定させたいとの思いから国と東電に上告断念を訴えてきた。本意ではないが、こちらも上告し、国の法的責任を確定させたい」とした。

 9月30日の二審判決は、高裁では初めて事故を巡る国の責任を認め、賠償の大枠を定めた中間指針を上回る救済判断を示した。その上で計5億円の賠償を命じた一審・福島地裁判決よりも国の責任に踏み込み、東電と同程度に賠償を負う必要があると判断した。