浪江の復興拠点、除染・解体8割超 拠点外の方針も住民説明

 
帰還困難区域の復興・再生に向け町民と意見を交わした説明会=浪江町

 浪江町は12日、原発事故による町内の帰還困難区域に関する説明会を同町で開いた。2023年春の避難指示解除を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点)の除染と家屋解体の進捗(しんちょく)が9月末現在で8割超に上ったことなどが示された。拠点外については、住民意向を踏まえ、20年代に避難指示解除を目指すことも改めて説明された。

 浪江町の拠点外を含めた帰還困難区域の復興・再生への取り組みを町民に説明する場は初めて。町民約60人が参加し、吉田数博町長をはじめ国、県、町の各担当者が出席した。

 説明会では、9月末現在で復興拠点の除染は94%、家屋解体は86%が完了したことのほか、上水道と道路の復旧が終わったことや23年春の避難指示解除に向け来秋に準備宿泊を実施することなどが報告された。

 拠点外については内閣府原子力災害現地対策本部の担当者が、20年代に帰還の意向確認、除染、避難指示解除を進める方針を示した。出席した町民からは「除染から解除までの時間を早く対応してほしい」「意向調査は個々にではなく集落単位で行ってほしい」などと意見が上がった。

 浪江町の帰還困難区域の総面積は約1万8100ヘクタールで町土の約8割を占め、震災前は約3600人が住んでいた。このうち約3%に当たる室原、末森、津島3地区の約661ヘクタールが復興拠点として整備される。

 町は11月23日まで、帰還困難区域に関する説明会と町政懇談会を県内外各地の会場で開く。