海洋放出の目標達成「苦しい時期」 更田原子力規制委員長

 
福島第1原発を視察する更田委員長(右)

 原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は2日、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を2023年春ごろに開始するとの政府や東電の方針について「(現状での目標達成に向けては)かなり苦しい時期に来ている」との認識を示した。福島第1原発を視察後、報道陣の取材に答えた。

 規制委は、海洋放出前に東電が必要な設備の設計や手順などをまとめた実施計画を審査して認可する必要があるが、東電はまだ審査を申請していない。更田氏は「審査期間はそれほど長いものではない」と説明。一方、審査結果に対する意見公募や関係者への説明、設備工事に時間を要するとし「年内のできるだけ早い時期に申請を受けたい」と早期の申請を求めた。福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者にも意見を伝えたという。東電は申請時期について「地元などの意見を聞き調整中」としている。

 更田氏の福島第1原発の視察は昨年10月以来、約1年2カ月ぶり。海洋放出用の海底トンネル入り口に当たる5、6号機の取水口付近や1~4号機の外観などを見て回った。