震災後の現状、課題伝える 県知事、海外メディアや大使館員らに

 
復興の現状や課題について、オンラインで講演する内堀知事(上)

 内堀雅雄知事は16日、フォーリン・プレスセンター主催の講演にオンラインで出席し、外国メディアや各国の大使館員らに東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から丸11年となる本県の現状や課題を伝えた。参加者から、第1原発で発生する処理水の海洋放出方針や本県産食品の輸入規制に関する質問があった。

 内堀知事は本県で復興が進む一方、避難指示が解除された地域への住民帰還や廃炉対策、処理水の問題など「光と影」の部分があると説明。影を光に変えるための「挑戦」の具体例として、県産農産物の輸出に向けた取り組みを紹介した。

 質疑では、ドイツの記者から「政府の処理水の海洋放出方針を承認するか」との質問があった。内堀知事は、処理水の取り扱いを巡るさまざまな意見があることを踏まえ「新たな風評を懸念する声と、廃炉作業を進め避難地域の一日も早い復興を進めなくてはならないという大きなジレンマが存在している」と説明。「政府においては、科学的根拠に基づく正確な情報を繰り返し丁寧に発信するなど、日本全体の問題として取り組むことが極めて重要だ」と述べた。

 台湾の記者からは、台湾が本県など5県産食品の輸入規制の緩和案を表明したことへの受け止めや、今後の輸出戦略を聞く質問があった。内堀知事は「震災前に県産品の主要な輸出先だった台湾で輸入規制が緩和されれば、復興を前に進めるための大きな力になる。品質の高いモモやリンゴ、コメ、日本酒など福島の農産物のおいしさを丁寧に伝えていきたい」と話した。