不溶性「セシウム粒子」 水生昆虫に蓄積せず、福島県内河川調査

 

 国立環境研究所などの研究チームは14日、本県の川に生息する水生昆虫の個体から、放射性セシウムを含む大きさ0・1~10マイクロメートル程度のガラス状の不溶性粒子「放射性セシウム粒子」(セシウムボール)を発見したと発表した。生物によるセシウムボールの取り込みを確認できたのは初めてだとしている。

 研究チームは、セシウムボールが餌として体内に入っても消化管から排出されるため、体組織に取り込まれるリスクはほとんどないと指摘。生態系の中で水溶性のセシウムとは全く異なる動きをしているため「水生昆虫や、それを餌とする魚のセシウム濃度の将来予測の精度が向上することが期待される」と発見の意義を語る。

 研究チームは淡水魚へのセシウムの移行について調べようと、水生昆虫のセシウム濃度の測定を実施。2018年度に4回、南相馬市の太田川でヒゲナガカワトビケラ46匹とヘビトンボ45匹を採取し濃度を測定した。セシウムボールの有無も確認した。

 結果、ヘビトンボは個体ごとのばらつきが見られず、セシウムボールも確認されなかった。一方、ヒゲナガカワトビケラ4匹からセシウムボールが確認された。セシウムボールを取ると、他の個体と同程度まで濃度が低減した。

 セシウムボールは、周辺の藻類からも見つかり、研究チームは藻類を餌とするヒゲナガカワトビケラがこの粒子を取り込んだと考えられるとした。

 研究には県環境創造センターや福島大なども加わった。

 研究成果は、米国のオンライン学術誌「プロスワン」に5月20日付で掲載された。