海のセシウム濃度、欧州より速く低下 福島大、3県沖の太平洋調査

 

 福島大環境放射能研究所の高田兵衛(ひょうえ)特任准教授は7日、東京電力福島第1原発事故後の宮城、福島、茨城3県沖の太平洋で海水中の放射性セシウム濃度を調べた結果、チェルノブイリ原発事故後の欧州の海より速く低下していることが分かったと発表した。

 定例記者会見で高田氏は「日本は外洋と直接つながっている開放的な海域であり、海水の希釈拡散効果が欧州の海より大きいと考えられる」と説明した。

 高田氏は、セシウム濃度が半減する期間(実効半減期)を欧州と日本の海域で計算。それぞれの原発事故から1~9年の減少速度を比較した結果、日本が最も短く1.6~4.7年となり、欧州では外海とつながっている北海が4.9年、周囲を陸で囲まれているバルト海が14.4年だった。

 またチェルノブイリ原発事故後9~30年の実効半減期は北海で8.4年となり、4.9年に比べて減り方が緩やかとなった。高田氏は「海のセシウム濃度が減少する中、河川から流入するセシウムの影響が見えるようになってきた」と推察、今後の東日本太平洋側のセシウムの減少傾向を予測する上で重要な情報だと説明した。