処理水の海洋放出停止で基準、東電 半径3キロ以内700ベクレル

 

 東京電力は18日、福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出方針を巡り、放出した際に付近海域でトリチウム濃度が高い値を示した場合に放出停止を判断する基準値を第1原発から半径3キロ以内で1リットル当たり700ベクレル、海側10キロ四方で1リットル当たり30ベクレルに定めたと発表した。

 東電が放出時にトリチウム濃度を確認するモニタリング地点は、半径3キロ以内の10カ所と海側10キロ四方の4カ所。地点によって週1回から月1回、モニタリングを行い、いずれかの地点で基準値を超える値が検出された場合、放出を速やかに停止するとしている。停止後はモニタリングの頻度を増やして傾向を把握したり、気象・海象を確認して拡散状況を評価したりする。再開に向けては、設備や運転状況の異常の有無などのほか、モニタリングで基準値を下回っていることを確認する。

 また基準値の半分程度を超える値が検出された際は、設備や運転状況などを確認するほか、海水を再度採取して状況に応じてモニタリングを増やすなど調査を強化する。この基準値は半径3キロ以内を1リットル当たり350ベクレル、海側10キロ四方を1リットル当たり20ベクレルと設定した。このほか、各機関が行う詳細なモニタリングで通常と異なる状況などが確認された場合、必要な対応を検討して対処していくとしている。

 東電は処理水について、トリチウム濃度を国の基準の40分の1に当たる1リットル当たり1500ベクレル未満となるよう大量の海水で薄め、海底トンネルを通じて沖合約1キロから海に放出することを計画している。

 今回設定した基準値は、設備や測定の不確かさを考慮して1500ベクレルを上回らないよう、運用上限値を基に半径3キロ以内を700ベクレルとした。海側10キロ四方の基準値は、直近3年間で国内の原発の前面海域のトリチウム濃度の最大値となる1リットル当たり20ベクレルを超えた場合を異常な状況と考えて設定した。