特定帰還居住区域、住民意向踏まえ計画を策定 7市町村

 

 改正福島復興再生特別措置法の成立を受け、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域を抱えた7市町村は「特定帰還居住区域」の範囲を盛り込んだ計画の策定作業に入る。国が計画を認定した後に除染や生活インフラの整備が始まるが、除染範囲などの詳細に関する議論は持ち越され、住民が望む形での帰還がかなうかどうかはなお不透明だ。

 大熊、双葉、富岡、浪江の4町で実施された意向調査では、対象計2002世帯の26・7%が「帰還希望あり」と回答。残る7割強は「保留」や未回答も多く、大熊、双葉両町では約半数の回答にとどまった。新拠点の範囲は帰還希望者の生活圏を軸に国との調整で決まるとみられ、大熊町の担当者は「できる限り住民の意向に沿って範囲を設定するには、回答数を増やすことも重要だ」と話す。

 町域の約8割が帰還困難区域の浪江町では3割の住民が帰還を希望したが、多くは山間部で、生活圏をどう捉えるかが難しい。担当者は「住民の意向を最大限反映した制度設計を求めたい」と語った。

 富岡町は「生活圏を中心に、できるだけ広範囲の除染を求める」とし、年度内の計画認定を目指す考えを示した。南相馬、葛尾、飯舘の3市村は対象世帯が計15ほどと少なく、住民の意向を踏まえ対応を検討する。

 除染範囲の考え方については政府が本年度、大熊、双葉両町で実施する先行除染の前提となる計画を詰める過程で示される見込みだが、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除は制度化から5~6年を要した。新拠点の候補地には放射線量が高い山間部も多く含まれており、解除時期は見通せていない。