処理水放出、現場に緊張感 東電第1原発 「異常なし」に安堵

東京電力は24日、福島第1原発構内の免震重要棟にある操作室で、処理水を薄めるための海水を移送するポンプを起動する場面などを報道陣に公開した。海洋放出は今後約30年続くと見込まれており、放出開始に向けた作業からは、別室のテレビモニター越しでも現場の緊張感が伝わってきた。(報道部・折笠善昭)
沈黙の中、4枚の液晶モニターを前に運転員2人が座っていた。その背後には複数の男性が立ち、作業の様子を静かに見守っていた。放出開始予定時刻の午後1時。作業開始を伝える当直長の声が響いた。手順書に従い、海水ポンプの起動に向けた準備が進められる中、カウントダウンが始まった。
「5秒前、4、3、2、1、0」。放出が開始され、海水ポンプが無事に起動した午後1時3分を指す「ヒトサンマルサン」との声や、処理水が海底トンネルの起点となる下流水槽に入った午後1時13分を表す「ヒトサンヒトサン」、「異常なし」との運転員の声が聞こえると、現場からは安堵(あんど)の様子も感じ取れた。
作業の様子は午後0時55分から30分程度公開され、手順書に従いながら機器の操作に当たる運転の姿や、人為的ミス防止のため、一つ一つの作業を実施する前に、声を出して作業に当たっている姿が特徴的だった。
作業に立ち会った福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「スケージュールありきではなく、自分が納得するまでしっかりと確認して操作をするよう訓示した」と明かした上で、さらなる緊張感を持って作業に当たる考えを強調した。
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