【伊達】旧特定避難勧奨地点、帰還は18世帯止まり

 
伊達

多くの世帯が特定避難勧奨地点に指定されていた伊達市霊山町小国地区。住宅除染は完了し、至る所に仮置き場が見られる。解除から9カ月がたとうとしているが、避難者の帰還は思うように進まない

 伊達市の旧特定避難勧奨地点に指定されていた全128世帯は昨年12月、解除条件の年間積算放射線量20ミリシーベルト以下になることが確実になったとして、指定が解除された。解除に伴い、指定世帯に支払われていた東京電力の精神的賠償も今年3月分で打ち切られた。

 市によると、指定世帯のうち、実際に避難したのは94世帯。指定地域の住宅除染は完了したが、8月末現在で帰還したのは、18世帯にとどまる。帰還していない指定世帯の避難先の多くは市内のため、実際は自宅との二重生活を送る住民もいる。

 放射線への不安が拭い切れない避難者感情に加え、借り上げ住宅の家賃補助などの支援が続いていることが、避難者の帰還が進まない背景にあるとみられる。

 こうした状況の中で、市は指定世帯の避難者の帰還を促す具体策を打ち出せていない。一方、自主避難者に対しては、広報誌の送付や県外相談窓口の設置など、情報提供を続けている。