【子ども・被災者支援法】 指定範囲に不満相次ぐ

 
【子ども・被災者支援法】 指定範囲に不満相次ぐ

 原発事故の被災者支援を盛り込んだ「子ども・被災者支援法」。昨年6月の成立から1年を過ぎ、復興庁はようやく法に実効性を持たせる「基本方針」案を示した。ただ、支援対象地域の線引き手法や、支援内容も大半が既存施策を列挙したにすぎず「骨抜き」の様相を呈している。

 基本方針案は、県内の避難区域を除く浜通りと中通りの33市町村を支援対象地域に指定。会津地方や県外については、施策ごとに支援が受けられる準支援対象地域に設定した。しかし、法成立時は「一定基準以上の放射線量」で支援対象の範囲を決める方針だったが、結局は市町村単位で区切られた。

 根本匠復興相は「放射線量で画一的に定めれば、地域を分断することになりかねない」と説明したが、33市町村を指定した経緯に不透明な部分は多い。避難区域からの避難者はもちろん、区域外からの自主避難者への支援もうたっていただけに、避難者からは「指定範囲が狭すぎる」として、線量による線引きを求める意見が相次いでいる。

 施策内容も100を超えるが、目新しい施策は極端に少ない。復興庁は県民の意見を反映させるため11日に福島市、13日に東京で説明会を開くが、それ以外の開催場所や開催回数については「検討中」としている。基本方針は10月上旬にも閣議決定される見通しだが、県民が納得できるよう、いかに実効性のある方針を策定できるか、政府の姿勢が問われている。