【廃炉費用】 電気事業・会計規則変更、積立期間を延長

 
【廃炉費用】 電気事業・会計規則変更、積立期間を延長

 経済産業省は電力会社が原発の廃炉をしやすくするため、1日に省令を改正し電気事業の会計規則を変更した。東京電力福島第1原発5、6号機の廃炉判断を先送りし続けてきた東電の広瀬直己社長が9月、「年内に判断する」と廃炉に一歩踏み込んだ背景には、今回の会計規則の変更が要因の一つとみられる。

 従来の制度では、東電が5、6号機の廃炉を決断すると原発の資産価値はゼロとなり、約2000億円を特別損失として計上する必要があった。東電は財務悪化を嫌って決断できなかったとみられる。会計規則変更では、廃炉引当金の積立期間を最大10年間延長し、その費用を電気料金で回収できるようにした。廃炉を決断しても一挙に損失が発生しないようにする仕組みだ。

 5、6号機の廃炉をめぐって、東電は研究開発施設への転用を選択肢の一つとして検討を進めている。一方、東電の2013(平成25)年4〜6月期決算によると、事故を起こした1〜4号機の廃炉費用は事故収束ステップ2完了までの費用も含め総額約9500億円。東電は特別損失に計上している。