【県会全員協】 論戦に物足りなさ、"不満の声"漏れる

 

 東京電力福島第1原発で深刻化する汚染水問題や、一向に対応が改善されない賠償と除染をめぐり、県議会は9月定例会中に開いた全員協議会で、東電の広瀬直己社長や政府関係者に対し打開策を直接ただした。

 2011(平成23)年9月以来2年ぶりの開催。県民の代表である県議が東電、政府を追及する貴重な機会だったが、広瀬社長らは汚染水対策や賠償の対応などで従来の見解をなぞっただけ。「応答は具体性に乏しく、責任に真摯(しんし)に向き合う姿勢が見えない」(佐藤雄平知事)という批判は免れない結果に終わった。

 県や県議会が求める県内原発全基廃炉の議論で消極姿勢が際立った。安倍晋三首相が要請した5、6号機の廃炉も、広瀬社長は「年内に判断する」との主張を繰り返し、資源エネルギー庁の担当者は「第2原発の存廃は事業者(東電)が判断する」と政府の方針を後退させる始末。国会の閉会中審査と時期が近かっただけに、ベテラン県議からは「国会答弁の使い回しだ」と不満の声が漏れた。その半面、県民の切実な声を強く訴えるべき県議側の追及が手ぬるい場面も。緊迫感が漂う成熟した論戦には至らず、内容の物足りなさが印象付けられた。