【新たな力】 安心取り戻す闘い続く、自然に見せられ決意
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「少しでも復興の力になりたい」と話す新人職員の関さん=川内村・いわなの郷 |
東京電力福島第1原発事故の全村避難で一時休業を余儀なくされた川内村の観光施設「いわなの郷」の営業再開から1年が過ぎた。利用者数は震災前には及ばないものの、施設には歓声を上げる釣り客の姿も徐々に戻りつつある。
「餌は付け過ぎなくても大丈夫ですよ」。たくさんのイワナが悠々と泳ぐ釣り堀のそばで、新人職員の関孝男さん(39)は釣り客に優しく声を掛けた。
関さんは6月から働き始めた。約10万匹を飼育しているイワナの扱い方は、まだ勉強中だが、先輩職員から指導を受けながら釣り客の接客に当たっている。昨年9月に埼玉県行田市から本県に移り住み、5月までは合同会社「かわうち屋」が運営する郡山市の店舗を切り盛りしていた。埼玉県内で教師の仕事などに就いていたが、挫折を経験。震災後、県内など被災地を巡っていた時に川内村のことを知った。「イメージしていた被災地とは全然違った。初めて自然の美しさを感じることができた」と印象を語る。「新しい環境で挑戦したかった」ことも村で働く決意を固めた理由の一つだ。
村は2012(平成24)年1月末に帰村宣言した。現在、避難区域の一部では避難指示の解除に向けて村民の長期宿泊が行われている。「今はまだ復興の力になれるとは思っていない。でもこれからは少しでも力になっていきたい」と関さんは力を込める。
【 いわなの郷 】
▽住所 川内村上川内炭焼場516
▽営業時間 釣り堀=午前9時〜午後4時、レストラン幻魚亭=午前11時〜午後5時。毎週火曜日定休
▽連絡先 レストラン幻魚亭=電話0240・38・3511、体験交流館=電話0240・25・8809
▽アクセス 常磐道常磐富岡インターチェンジから車で約50分