福島市企業誘致特命専門官・高山隆氏に聞く

 
福島市企業誘致特命専門官・高山隆氏に聞く

「企業誘致は定住人口増につながる」と話す高山氏

 経済復興には、既存の県内企業の業績進展に加え、県外からの企業誘致も重要となる。福島市企業誘致特命専門官の高山隆氏(59)に企業誘致に向けてどう取り組むべきか聞いた。

 --震災、原発事故後の本県について、県外企業はどう感じているか。

 「福島を支援したいという気持ちがある経営者は多い。復興支援として、県産品を購入してくれる企業もある。一方で風化が始まっているとも感じる。震災から3年半の今だからこそ、すぐに誘致に結び付かなくても、福島の良さや現状に理解を深めてもらえるよう情報を発信することが、企業を呼び込むことにつながる」

 --本県のセールスポイントは。

 「本県に工場や事業所を進出する企業に対し、政府や行政の補助制度が充実していることを強くアピールすべき。さらに本県は県土が広く、海や山など多様性がある。各市町村が特色ある土地柄を生かし、誘致を目指すことができる」

 --企業誘致の課題は。

 「放射能への不安もあると思うが、空間放射線量などの数値を示すことで徐々に解消されていくと思う。一方で、企業が進出するための工業団地造成や、周辺のアクセス道整備など受け皿づくりは重要だ」

 --企業誘致で目指すものは。

 「震災と原発事故後、県外避難などのため本県の人口は減少傾向にあるが、企業を誘致できれば社員も転入してくることで定住人口を増やすことにつながる。地域復興や経済活性化に向け、人口を増やすのは重要な要素。教育や医療、商業などの機能を総合的に充実させ、単身赴任ではなく、家族そろって住みやすい環境を整えられるよう行政が率先して取り組んでいかなければならない」

 【プロフィル】福島市出身。1979(昭和54)年に東邦銀行に入行し、湯本支店長や県庁支店長などを歴任。今年7月、とうほう地域総合研究所常務理事から現職に就任。