第1原発・4号機「核燃料取り出し」完了 課題は1〜3号機

 

 東京電力福島第1原発4号機で昨年12月、使用済み核燃料プールに残っていた燃料集合体1535体(使用済み1331体、未使用204体)の取り出しが完了した。廃炉作業の中核の一つと位置付ける東電は「廃炉に向けた第一歩」と評価するが、今後は人が容易に近づけない1〜3号機での作業に移り、廃炉工程が遅れる可能性も指摘されている。

 4号機は2011(平成23)年3月15日に原子炉建屋が水素爆発し、建屋上部が崩壊。定期検査中だったため原子炉内に燃料はなかったが、プールには燃料集合体が残っていた。爆発で建屋の耐久性が懸念され、燃料取り出しと別棟の共用プールへの移送を急いでいた。

 4号機の作業はほぼ計画通りに進んだが、水を抜いてプールの底が乾くと放射性物質を含んだ、ちりが舞うことが懸念されるため、今後は未定のままだ。

 今後の燃料取り出しは放射線量が高い特別な環境下となり、作業に向けた課題は多い。特に2号機は作業の見通しさえ立っていない。今年に入り、東電は原発が立地する大熊、双葉両町、県と廃炉に特化した新たな安全確保協定を締結した。より安全で着実な廃炉の実行が求められる。

 地下水放出6万8000トン、効果は不透明 

 東京電力福島第1原発の汚染水対策で、1〜4号機建屋に流れ込む前に地下水をくみ上げ海に放出する「地下水バイパス計画」の地下水放出は、40回を超えた。

 東電によると、昨年5月から始めた地下水の海洋放出量はこれまで約6万8000トン。複数の手法で行っている流入抑制対策と合わせた建屋への地下水流入量は1日当たり約90トン減少、建屋周辺の地下水の水位も開始前から約20〜25センチ低下しているという。ただ、地下水バイパス計画に限ったデータがないため、効果があるかどうかは不透明だ。

 1〜4号機の建屋周辺を凍土で囲んで地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」などを組み合わせれば、さらに地下水の流入量の減少が見込まれる。一方、海側のトレンチ(ケーブルなどが通る地下道)内の汚染水を抜き取る作業が難航すれば、本年度中の凍結開始予定が遅れる可能性も出てくる。