県森林組合連合会長・秋元公夫氏に聞く 生活圏優先仕方ない

 
あきもと・きみお 川内村出身。相馬農高卒。元同村助役。現在、双葉地方森林組合長を務めている。68歳。

 県森林組合連合会の秋元公夫会長に、本県林業の現状と森林環境の再生への課題を聞いた。

 ―本県の林業の現状は。
 「県産木材の生産量は原発事故の影響で一時は落ち込んだが、復興需要などで原発事故前と同水準にまで回復した。一方、避難区域での生産活動は止まったまま。キノコ原木の生産量、移出量も低迷が続いている」

 ―生活圏から離れた場所や人が立ち入る場所以外は除染しないという環境省の方針をどう受け止める。
 「森林全体の除染は現実的に考えて難しく、原発事故で避難指示が出た地域などは、まずは住民が帰れるように生活圏の除染が優先されるのは仕方ない。環境省の方針に対し反感が寄せられる半面、避難者は山林の管理よりもどう生活再建をしようかと頭を悩めているのが現状だろう」

 ―避難区域の森林整備に向けた課題は。
 「避難区域の山林は放射線量が高い場所があり、現場で働く人の被ばく防止が課題。国には安全に働ける対策を講じてもらいたい。また避難区域外では、森林整備の人手確保がままならない問題もある。区域外でも一定の放射線量がある森林内は、除染作業者と同等の危険手当を出すべきではないか」