復興拠点施設『新しい顔』...帰還後の生活基盤に 企業誘致も実現

 

 浜通りと中通りの中継地点である川俣町。東京電力福島第1原発事故により町南部の山木屋地区に出ていた避難指示が31日に解除される。山木屋では診療所などがある復興拠点施設の建設が進み、地区の新しい「顔」が少しずつ形になって見えてきた。また、震災後に、町として40年ぶりとなる企業誘致が実現。山木屋地区だけでなく、町全体の再生に向けた動きが着実に進んでいる。

 高齢者が帰還の中心 コミュニティーの維持必要

 【現状と課題】山木屋地区の避難指示解除後、人口1160人のうち、230~340人が古里に戻って生活を再開する見込みだ。帰還率は住民の約2~3割ほどと予想されている。
 ただ、帰還者は高齢者が中心。地域コミュニティーの維持は重要課題であり、住民が集まる場所として日用品店や食堂、交流スペースなどを盛り込んだ復興拠点建設は重要施策の一つだ。
 震災から6年が経過し町内にある仮設住宅の入居率は約6割ほどに減少。行き先が決まらない避難者を支援し、生活を安定させる取り組みも求められる。
 また、震災前まで全世帯の6割が農業に携わっていた地域だけに営農再開への支援も重要。農地を牧草地に活用しようとする農業者や保全管理に取り組む農業者を支援し続け、次世代につなぐことも不可欠だ。

 「戻りたい」微増43.9% 「判断つかない」減り13%

 【意向調査】復興庁と県、川俣町が山木屋地区の住民を対象にした意向調査によると、古里に「戻りたい」と回答した割合が、2014年1月調査時は35.4%だったのに対し、16年11月調査時は43.9%で8.5ポイント上昇した。
 一方、「戻らない」という回答も14年は23.3%だったのに対し、16年は31.1%と7.8ポイント増えた。
 14年は「まだ判断がつかない」という回答が33.9%あったが、16年は13.6%となっており、山木屋の復旧・復興状況について先行きが見えてきたことによって、帰還するか、しないかの判断がついた人が増えたとみられる。
 16年調査で、古里に戻る人が行政の支援として希望しているのは「医療・介護福祉施設の再開や新設」が66.7%でトップだった。