ホンシメジ栽培「農業復興へ挑戦」 大熊・おおくま未来合同会社

 
ホンシメジを収穫する栽培責任者の増子四郎さん。栽培4年目の今年、メンバーたちの農業復興に懸ける思いは一層高まっている

 大熊町の農業者ら5人でつくる「おおくま未来合同会社」は、避難指示が解除された同町大川原地区で県オリジナル品種のホンシメジを栽培している。震災後、町産農産物として2017年に初出荷し、販路を拡大して今年で4年目。メンバーは「自慢の味と品質で、風評は全く感じない。農業復興に向けて挑戦を続けていく」と意気込む。

 農業の復興を目指して15年に合同会社を設立した。放射性物質の影響を受けず安全に栽培できるよう、県の支援を受けて簡易ハウスを新設。農業用の軽石を使ってホンシメジの菌床栽培を始めた。徹底した環境管理と放射性物質検査で安全を確認し、17年にホテルなどに出荷した。18、19年は贈答用としても引き合いが多く販路を増やした。

 香りが強く豊かな風味が特徴のホンシメジは希少価値があり、高値で取引される。ただし収穫時期が秋だけのため、採算が合わないのが実情だ。そこで19年からホンシメジの6次化に取り組んでいるほか、キクラゲやナメコ、マイタケの栽培も始めた。ホンシメジのブランド化、多品種栽培でビジネスとして確立させる狙いだ。

 「今年の目標は都内のデパートにホンシメジを出荷すること。積み重ねたデータで安全性も十分にPRできる。さらに増産する計画」と畑川恵成代表社員(64)は自信たっぷりに語る。町の新産業に育ちつつあるキノコ栽培。メンバーたちは「大熊のイメージ向上につなげ、町の復興に貢献していきたい」と力を込めた。